小さな人生論〈2〉「致知」の言葉/藤尾 秀昭
「わが心の先師先賢」というテーマで書かれた吉田良次氏の話がとても興味深い。

自分が培ったものを少しでも後世にと、「丹養塾幼児園」という保育園を開設、古典の徹底した素読教育を実践したのである。               


意味を教えたりしない。解説を加えることもない。吉田さんが先頭に立ってとにかく朗誦する。子供たちが後について和する。      


その繰り返しが驚くべき力を発揮した。一年もたたないうちに、どの子も古今の名言をすらすら暗誦したのである。


平成15年11月20日、吉田さんは亡くなられた。


葬儀では園児を代表して6歳の吉田歩未ちゃんが「お別れの言葉を読んだ。



「園長先生、歩未の声が聞こえますか。二歳十ヶ月のとき、丹養塾幼児園に入園してから、漢字、算盤、俳句花園文庫、伝記、少年日本史朗誦選集など、園長先生には沢山のことを教えていただきました。

中略。


青森駅のデパートで野宿をしたこと、永平寺で座禅をしたこと、沢山の想い出があります。私たちは園長先生に教えていただいたことをいつまでも忘れず、深くさぐって強く引き出す人になります。天から受けたものを天にむくゆる人になります。そしてこの世に役に立つ人になります。園長先生ありがとうございました。」

意味を教える前に、数百年・数千年前の人智を結晶したような文章を聞かせておくというのは人間形成においてとても良いのではないかと思った。



嫁にも読ませ、2歳2ヶ月の息子に実践することに決めた。


早速論語に関する本を買って来て、少しずつの時間でも良いから毎日続ける事にした。


どこまで続けられるか分からないが、まずは続けることを目標にしよう。